大ヒット映画の「SING/シング」
劇中に日本語を話すレッサーパンダが出てきますが、怒って帰ってしまいます。
何で怒ったの?
とちょっと不思議に思いませんでしたか?
このシーンを見て、「日本人をバカにした差別描写」と感じた方もいたようです。
- レッサーパンダは何で怒ったのか?
- 字幕版と吹替版でセリフが違っている?
- 日本人をバカにした差別描写なのか
についてまとめてみました。
SING/シングでレッサーパンダが怒った理由は?前後のやり取りは何て言ってた?
「SING/シング」に出てくるレッサーパンダとは、この5人組のことです。
歌もダンスもあまり上手くない?けど可愛い、アイドルグループを模したと思われるレッサーパンダ5人組。
日本語を喋っていて(なぜか片言)、英語が理解できないようです。
きゃりーぱみゅぱみゅの「にんじゃりばんばん」と「きらきらキラー」を歌ってました。
どんなシーンだった?前後のやり取りは何て言ってた?
レッサーパンダの5人組が出てくるシーンは主に2つ。
- オーディションに落ちたけど、コアラのムーンの言葉が分からずに帰らず居座る
- 引き止めたコアラのムーンの言葉を勘違いして平手打ちを食らわせ、帰ってしまう
特にこの辺りのオーディション~レッスン場面はめちゃくちゃテンポ早くて、初見で見た際は筆者も「え?今何て言った?」「これどういうこと?」と理解できなかったので、同じように疑問に思った方もいるかもしれません。
この2つのシーンの前後で、どんなやり取りが行われているか詳しく見てみましょう。
オーディションに落ちたけど、コアラのムーンの言葉が分からずに帰らず居座る
とにかくレッサーパンダ5人組とは終始言葉が伝わらずにコミュニケーションが取れていません。
字幕版
ムーン(コアラ):You can go home!
レッサーパンダ青:ワレワレは、コノショ(賞?)デアルコトガ、トテモシアワセデス。(片言の日本語)
ムーン(コアラ)::I’m really sorry, but all the slots are filled.
レッサーパンダ青:ワレワレは、フタタビ、アナタノタメニ ウタイマス。(音楽を鳴らして歌い出す)
ミス・クローリー(イグアナ)に追い出される
吹替版
ムーン(コアラ):ちょ、ちょ、ちょ、君たちは不合格だ、お引き取りを。さあどうぞ。
レッサーパンダ青:ワレワレは、コノショ(賞?)デアルコトガ、トテモシアワセデス。(片言の日本語)
ムーン(コアラ):悪いけど、これ以上人数増やす訳にはいかないんだ。
レッサーパンダ青:ワレワレは、フタタビ、アナタノタメニ ウタイマス。(音楽を鳴らして歌い出す)
ミス・クローリー(イグアナ)に追い出される
字幕版も吹替版も、レッサーパンダの声は一緒のようですね。
引き止めたコアラのムーンの言葉を勘違いして平手打ちを食らわせ、帰ってしまう
舞台装置の事故でオーディション合格者2名が降板。
不合格が理解できずレッスン場に居座っていたレッサーパンダ5人組を見つけて、ムーン(コアラ)はこれ幸いと前言撤回で「合格」と伝えに行きます。
字幕版
ムーン(コアラ)
“You are very talented! Please! Join the show, okay? Yes? No? Oh, uh…here.
(英文訳:あなたはとても才能がある!頼むよ!ショーに参加して、いい?いいかい?ダメ?ああ…ここに)
(辞書のようなものを取り出して読みながら)
アナタ ダシ スゴク クサイヨー アシ ノ ツメ ニ ニテ クサイ
レッサーパンダ緑:平手打ち。怒って帰る。
吹替版
ムーン(コアラ)
いいかい!前に言った事は取り消す。君たちは才能に満ち溢れているよ!ぜひ、コンテストに出てくれ!どうかな?いい?おっと、外国人だっけ・・・
(辞書のようなものを取り出して読みながら)
リッスン、リッスンミー、ユー ビューティフォー、エンド ワンダホー、ファイブガールズ
アイニードユー、プリーズ、ユーセクシー(片言英語)
レッサーパンダ緑:平手打ち。怒って帰る。
レッサーパンダが外国人で自分の言葉が通じないので、5人組の母国語で喋ってみたら間違えて怒らせてしまったという描写なんでしょう。
字幕版は「足が臭い」と言われたと勘違いし、吹替版は「セクシー」というポルノなどで使われる表現を向けられてセクハラと捉えられたんですね。
どう辞書を引いたらこんなにも間違えるのか不思議ですけど、まあ確かに怒っていい案件です(笑)
しかしこの「英語が分からない」「可愛いけど歌もダンスもヘタ」「無駄にキャピキャピしている」という表現が、日本人を皮肉っている、バカにした差別的描写だという声もありました。
SINGでレッサーパンダが怒った理由は?日本人をバカにした表現との声
レッサーパンダの設定は、日本を意識しているのは間違いないですよね。
- 目を細めて笑う
- 英語が喋れない
- きゃりーぱみゅぱみゅ
- 歌が下手でキャピキャピしている
- kawaiiでどこまでも押し通すアイドル像
などなど。
外国映画に見る日本像っての異常に興奮する癖がありまして、勘違いジャパンでもなんでも大好きです
— すて (@1ahoW) March 30, 2017
SINGのレッサーパンダは明らかに日本人がモデルで、
"目を細めて笑う""英語が喋れない""ハラジュクカワイイ"の特徴がありました#JAPメモ pic.twitter.com/TsxA5wQWoo
中には「レッサーパンダだけ歯並びが悪いのも海外から見た日本のイメージ」という意見もありました。細かいところまで良く見ている!
穿った見方をすればいろいろ出てきますよね。
日本ってこういう印象なんだなと興味深く観ていたので、「日本人が、というより日本のポップミュージックがああいうイメージなんだろうね」という意見に一番共感しました。
SINGで日本語喋るキャラ(小さいレッサーパンダの5人組)日本人が、というより日本のポップミュージックがああいうイメージなんだろうね
— kya (@nozomutokorodaa) July 25, 2019
小さくてひたすらキャピキャピしていて若さあふれる感じkawaiiね pic.twitter.com/t0lavjncB7
個人的にはそれ以上の感情はなかったのですが、中には「日本人差別」「バカにされた」と感じた方も多いようです。
その気持ちも、分かる気もします。
SINGめっちゃ好きなんだけど、レッサーパンダの描写だけは日本に対しての悪意を感じるレベルで差別的に描かれてるなとは思う…。とはいえ英語で喋りかけられた日本人はたしかにああいう反応しか出来ないからなあっていう……。事実なんだけどああいう風に描写されると嫌だなあ……。
— いちき (@ichiki_817) March 19, 2022
『SING』に日本のアイドルグループがモチーフのレッサーパンダ?アライグマ出てきたけど、英語話せない&お遊戯的なダンスに審査員苦笑ってめっちゃディスってるね
— Si (@Si_mgcs) January 3, 2022
シング、字幕でみたけど、この日本アイドルのレッサーパンダたち、完全にバカにされてたきがするw 歌がへたできゃぴきゃぴしたかんじに描かれてた。レッサーパンダたち英語がわからないからコアラがつたない日本語で話す笑 きゃりーの曲使われてた、日本のイメージなのかな。
— ハニー (@hani_niha) March 31, 2017
そういえばSING大好きなんだけど、唯一モヤるのレッサーパンダ3人組の扱いなんだよねー。あれ日本のグループなんだけど、空気読めない英語通じないすきっ歯、レッサーパンダチョイス辺りが中華と混ざってる感じがとてもアジア人を小馬鹿にしてるというか、アジア人あるあるで笑い取りに来てる感じが
— もいもい⊿青空🦋imoimoip3 (@i_moimoi) March 17, 2019
▼すきっ歯は、ベイマックスの主人公ヒロもそうでしたね。日系人の設定だったので、やはり日本人は歯並び悪いというイメージが定着しているのでしょうね。
SING見てて思ったんだけど、日本から来たアイドル見習いって設定のレッサーパンダの女の子がみんなこぞって歯並びがメチャクチャ悪いのwほかのキャラはピッカピカに綺麗な歯並びしてるのに。
— 瀬田村ブレビ (@SedamuraBravery) November 29, 2018
やっぱ海外の人から見たら日本人の歯並びってこういうイメージなんだろうか。 pic.twitter.com/jLaxCPV9zo
人によっても感じ方が違うと思いますが、子供も楽しむイルミネーション社の作品なので明確な差別的意図があるとは思いませんが、この作品が公開されたのは2017年。
ちょうどその辺りは、ポリコレの意識が急速に広まり始めた時期と重なります。
それ以前のポリコレの意識が希薄だった時代には、このような「ある一定の層が不快感を覚える偏見や差別的表現」が表現の自由として当たり前にあったことを改めて実感しますね。
ディズニーなどは、行き過ぎたポリコレで世界観を無視し出すなど悪影響も受けていますが、やはり一定の意識は必要だなと再確認しました。