すずめの戸締まりサダイジンなぜ抜けた?正体や環憑依の理由と繋がる神の目的

すずめの戸締まりサダイジンなぜ抜けた?正体や環憑依の理由と繋がる神の目的

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新海誠監督の劇場最新作「すずめの戸締まり」

伏線や語られていない謎の多い映画ですが、特に唐突に現れた「サダイジン」については良く分からない点が多いですよね。

この記事では、

  • サダイジンなぜ抜けた?
  • サダイジンの正体とは?
  • ダイジンの正体とは?
  • 古文書から読み解くサダイジンとダイジン
  • サダイジンが環に乗り移った理由・目的は?
  • サダイジンの責任や使命

これらを分かりやすく解説し、まとめていきます!

この記事は、小説版と劇場版の「すずめの戸締まり」のネタバレが含まれますのでご注意ください。

すずめの戸締まり サダイジンの正体|神を宿して要石になった元閉じ師

サダイジンがなぜ抜けたのかを調べる前に、サダイジンの正体を紐解いていった方が分かりやすいですので、そちらから先に。

サダイジンの正体は、

「神を宿して要石になった、元人間の閉じ師」

だと思われます。

その根拠は、病室にいた草太の祖父・羊朗のシーンです。

羊朗とすずめの会話

羊朗が鈴芽(すずめ)に言った「草太はこれから何十年もかけ、神を宿した要石になっていく」というセリフを読み解くと、

要石=閉じ師が何十年もかけて閉じ師が神となったもの

となりますよね。

羊朗とサダイジンの会話

草太の祖父・羊朗の病室から鈴芽(すずめ)が駆け出して行った後、どこからともなくサダイジンが窓辺に姿を現し、それを見た羊朗がサダイジンに語り掛けてます。

「これはお久しゅうございます。とうとう抜けてしまわれたか。あの娘についていかれるんですね。どうぞ宜しくお願い致します。」

映画 すずめの戸締まり

このセリフから「羊朗がサダイジンの正体を知っていて、敬う気持ちを持っていること」が伝わります。

羊朗が、草太がこれから要石になっていくことを知っている点から、

  • 要石は、草太と同じように戸締まりに奮闘した閉じ師が、犠牲となって神となったもの
  • 閉じ師は、要石を神として崇め、災厄を鎮めてくれることに敬意を表している。
  • サダイジンは長い期間をかけて完全に神となった要石。ダイジンはまだ神になり切れていない要石

であることが読み取れます。

閉じ師の一族は、要石となってミミズを封じる力を持っているため、羊朗も現役時に有事があれば、自分も要石になっていたかもしれません。

閉じ師の一族の先祖であり、身を持って神となってミミズを封印したサダイジンのことを、羊朗は心から敬っていることは間違いないでしょう。

そんな「神を宿した要石」となっていたサダイジンが、現世に現れた理由はなぜでしょう。

すずめの戸締まり サダイジンはなぜ抜けた?対の力が弱まった可能性

ダイジンはすずめが引っこ抜いたことにより、猫を模した石から猫の形に変化して自由に動けるようになりました。

では「神を宿した要石」となっていたサダイジンが抜けて、現世に現れた理由はなぜでしょう。

誰かが抜いたのでしょうか。

サダイジンはなぜ抜けた?→ダイジンが抜けたことによる作用

要石であるサダイジンが、ある種持ち場である後ろ戸から抜けて猫の姿で動き回っている理由は、以下が考えられます。

  • ダイジンとサダイジンは東西2つで1対の要石
  • ダイジンが抜けたことにより、サダイジン1つではミミズを抑えきれなくなって抜けた

ダイジンの正式な名前は「ウダイジン=右大臣」。「サダイジン=左大臣」とウダイジンで対の存在であると、新海監督が明かしています。

誰かがサダイジンである要石を抜いた、何かがサダイジンに起こったというより、対であるダイジンが抜けたことによる副作用といえそうですね。

サダイジンは「なぜ自分が抜けたのか」「ダイジンはなぜ抜けたのか」を知るため、また「再度の封印を羊朗にお願いできるか」などを知るために、現代の閉じ師である羊朗の元を訪ねていたのかもしれません。

そうなると、ダイジンとサダイジンの関係性が気になってきます。

すずめの戸締まり ダイジンの正体→人柱になった子供の閉じ師

サダイジンとダイジンの関係性を読み取る前に、ダイジンのことを紐解いていきましょう。

ダイジンの正体とは、一体何なのでしょうか。

ダイジンは人柱になった子供の閉じ師

ダイジンはサダイジンと同様「人柱として要石になった閉じ師」と言われていますが、サダイジンとの違いは年齢。

ダイジンが要石になる前には「子供」だったと思われます。

新海監督は舞台挨拶などの質問に対して、「ダイジンたちの正体について明確な設定はない」としながらも、ダイジンの裏設定について以下のように明かしています。

  • ダイジンは閉じ師だった子供ではないかと思いながら脚本を書いた

なかなかエグイ設定をぶち込んできましたね。

古文書から読み解くダイジン

スタッフインタビュー記事の資料として、ニュータイプ2023年1月号に「閉じ師の古文書」3件が掲載されていました。

それを読み解いた方の投稿にて、以下の内容が書いてありました。

●古文書の概要
①『夜分大焼之圖』 (モデル画:「浅間山天明大噴火 夜分大焼之図」)
…1783年の浅間山の「天明大噴火」で、山の頂上の鳥居からミミズが噴き出したときの災害の様子の記録

②『黒要石収拾之圖』 (モデル画:「おそろ感心要石」)
…1855年の「安政江戸地震」(※③の1年後)のとき、黒要石(サダイジン)が一度抜けたが宗像氏が対処し、人々の祈りによって大神がミミズに打ち勝った旨の記録

③『寅の大変 白要石』 (モデル画:「あんしん要石」)
…1854年の「寅の大変」(相次いで起こった、安政東海地震・安政南海地震・豊予海峡地震)のときに、先代の大神が居なくなり、新たな者が白要石(ウダイジン)と為った旨の記録

※注:古文書の記載内容は、映画の完全な設定ではない(監督の中で確定事項ではない)と思われますので、その点ご留意ください。監督の発言とは矛盾しているかもしれません。

③『寅の大変 白要石』の意訳 (※一部は未解読)
尾が暴れ河内を揺るがす なゐ(≒地震)の神。
閉じ師 石上一族……には、(古くから要石であった)老猫が、勇敢にも満身創痍となりながら合戦のごとく日見不(ミミズ)と闘ったところ、……大神は泡となった。
日見不は尾を振り続けて河内三国に地震を起こし、勢いを増して、ついに伊予肥後に至るまで揺らしてしまった。
(被災した)三輪山の大和河原の遺児が世を嘆き、(閉じ師の)石上に願い出たので、常世へ入り要石に鎮座した。
ここに新たに白い右大神が立った。
人々はこれを悲しみ敬意を表し、大村神社に奉った。

https://twitter.com/lu_maple

上記を現代語で要約すると、以下のような内容になります。

・先代の白要石(右大神)は、ミミズとの闘いに敗れて泡となって消えた
・ダイジン自身が170年前の安政地震の震災遺児であり、先代が消えて地震が相次ぐ世の中を見て、「ぼくが要石になるよ!」と本当に要石になってしまった張本人だった

つまりダイジンは、

  • 安政地震(170年前)の震災遺児
  • 先代のウダイジンが消えて地震被害が広がる世の中を見て要石に名乗り出た子供

と考えられるということです。

...背景が切なすぎやしませんか。

古文書に描かれている限りでは、要石になる前の人間だったダイジンは奈良県桜井市の三輪山出身。

恐らく閉じ師ではないが、常世に通じる力は持っていたと推測されます。

三輪山には日本最古の神社「大神神社(おおみわじんじゃ)」があり、「白石の神域」と呼ばれる遺跡もあるようなので、ダイジンの一族が神職やそれに準ずる家だった可能性はあるかもしれません。

参考:https://twitter.com/lu_maple

鯰絵と要石

ちなみに、先述した1855年の「安政の大地震」で江戸市中は甚大な被害を受け、この直後から地震を引き起こすと信じられていた大鯰を描いた、「鯰絵」と呼ばれる版画(多色刷り浮世絵)が市中に大量に出回りました。

この中にも「要石」を描いているものが多くあります。

▼要石で大鯰は押さえ込まれ、各地の鯰は詫びを入れ、地震のない日々に戻ったと喜ぶ。添文は地震除けの呪文?

出典:神使像めぐり

ダイジンの行動や心理

ダイジンは、閉じ師だった子供が要石になったものだということですが、要石となった自分を引っこ抜き、結果的に封印を解いてご飯まで与えてくれて「うちの子になる?」とまで言ってくれた鈴芽(すずめ)に愛着しています。

元々が子供で、かつ地震で親を失った震災孤児だとしたら、母のような存在に惹かれるのは当然の反応ですよね。

すずめと一緒にいたいと思ったダイジンは、自分を再度要石として封印しようとしている草太に敵対心を持って「おまえ、じゃま」と椅子に変えました。

後ろ戸に先回りして「また沢山人が死ぬね」などと草太を煽っていたのも、要石の役割が自分に移ったことを気づかせて、ダイジンの代わりに草太が要石となってミミズを封印してくれるように誘導していたものと思われます。

自分の代わりに、要石としての役目を押し付けたかったのですね。

この行動だけ見ると「何と身勝手な!」と言いたくなるところですが、子供ながらに要石になったダイジンの背景を知ると、

「ぼくは170年頑張ったんだから、今度はおまえの番な」と後継者に役割を押し付けたとしても、そりゃしょうがないよなと同情してしまいますよね。

サダイジンとダイジンの関係性

サダイジンとダイジンの関係性も気になりますよね。

この点については明確な記載や監督からの言葉はありませんが、サダイジンは東の要石、ダイジンは西の要石で、かつ、要石になった時代が違うので、人間だったころは接点がなかったと思われます。

先述した古文書によると170年前、人間だった子供のダイジンが自らが要石になると自ら名乗り出て、西の閉じ師である「石上氏」に要石にされました。

その1年後に、東の要石(サダイジン)が一度抜けたが、西の閉じ師である「宗像氏」が対処してミミズに打ち勝ったという記録があります。

この記載だと、東の要石が抜けたあと、新たに要石となった人物がいた訳ではなく、再度抜けた要石でミミズを封印したと読み取れます。

つまり、サダイジンは、ダイジンよりも遥かに長い年月の間、要石でいる大神なのだと思われます。

参考:https://twitter.com/lu_maple

サダイジンはダイジンを可愛がり、導いている

映画内で、直接描かれているサダイジンとダイジンは、

  • 環に乗り移ったサダイジンを威嚇して攻撃するダイジン
  • 親猫のようにダイジンの首を咥えているサダイジン
  • 後部座席でダイジンを舐めているサダイジン

と、親子のような描写が多いです。

人間だったころは特に接点はなかったようですが、サダイジンの方が長い時間をかけて神になった要石と思われるので、まだ200年弱のダイジンを可愛がり、導いている存在と言えそうです。

すずめの戸締まり サダイジンが環に憑依した理由・目的

サダイジン初登場は、環が本音をまくし立てるシーン。

環の後ろに黒い大きな影が出てきて、サダイジンが憑依していることが分かります。

なぜいきなり現れたサダイジンが環に憑りついて、長い間心の奥底にしまっていた本音をぶちまけさせたのでしょうか。

これも、新海監督が舞台挨拶の質問で答えていますが、

  • すずめと環のわだかまりを解消して、すずめに戸締まりに専念して欲しいというサダイジンの意図

があります。

サダイジンの要石としての責任と使命

サダイジンは、芹澤の車で

「ひとのてで もとにもどして」

と話しています。

要石になったサダイジンには、「ミミズを封じる」という責任と使命があります。

自分と対になるダイジンが抜けてしまっている以上、自分の力だけでミミズを封じることは難しく、2つの要石で再度封印してもらう必要があります。

草太が要石のままでいるにしろ、ダイジンが再度要石に戻るにしろ、その要石をミミズに刺して封印する「閉じ師」役の人間が必要になります。

もしかしたら、その依頼で現代の閉じ師である羊朗のもとを訪ねたのかもしれませんが、羊朗は病床で閉じ師の任務をできる状態ではありません。

そこに現れたすずめが常世へ入れる人間だと分かり、すずめに託すことにしたのでしょう。

すずめと環の仲を強引に揺さぶる

幼い頃に常世に迷い込んだすずめは、戸締まりをする素養があるようで、本人もそのつもり(なんなら、草太の代わりに要石になって良いくらいの気持ち)で、東北に向かっています。

その重要人物であるすずめのことを連れ戻しに来た環は、サダイジンにとっても招かざる客。

すずめが今からやろうとしていることを理解できないまでも、認めて信頼してもらうためには「長年のわだかまり」を解消することが先決。

そう考えたサダイジンは、神の力を用いて環の本音を引き出したという流れです。

結果オーライではありますが、なかなかの荒療治。

にしても、この場面は唐突過ぎて置いてきぼりを食らった観客も多かったですよね。

今作はこのような人物の背景や描写の丁寧さに欠ける部分が多くあったなという印象です。

すずめの戸締まりサダイジンなぜ抜けた?正体や環憑依の理由と繋がる神の目的 まとめ

「すずめの戸締まり」の中で要石であるサダイジンがなぜ抜けたのか、その正体や環に憑依した理由、そしてそれが繋がる神の目的について深掘りしてきました。

新海誠監督は、これ以外にも映画にはあまり描いていない裏設定なども沢山あります。

引き続き、すずめの戸締まりの考察記事を投稿していきたいと思いますので、よろしくお願いします!

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