「ジュラシックシリーズ」の第5作目である『ジュラシックワールド/炎の王国』。
「ひどい」「シリーズ最低の駄作」「登場人物全員バカで見てられない」など、待望の「ジュラシックワールドシリーズ」続編にも関わらず酷評の嵐です。
「え?え?待って?何で?え?ウソ!?なぜ?」と作品を観て終始モヤモヤしていた筆者も、同じ感想の人がいたことにスッキリ!
どこがそんなにひどいのか、指摘が多い部分をピックアップしてまとめました!
「ジュラシックワールド/炎の王国」のあらすじ
まずは、今作「ジュラシックワールド/炎の王国」のあらすじから。
必要ない方は次項まで飛ばしてください!
前作でハイブリッド恐竜インドミナス・レックスとT-REXが死闘を繰り広げ崩壊したテーマパーク<ジュラシック・ワールド>を有するイスラ・ヌブラル島で<火山の大噴火>の予兆が捉えられていた。迫り来る危機的状況の中、人類は噴火すると知りつつも恐竜たちの生死を自然に委ねるか、自らの命を懸け救い出すかの究極の選択を迫られる。そんな中、恐竜行動学のエキスパート、オーウェン(クリス・プラット)はテーマパークの運営責任者だったクレア(ブライス・ダラス・ハワード)と共に、行動を起こす事を決意。島へ向かったその矢先に火山は大噴火を起こし、生き残りをかけた究極のアドベンチャーが遂に幕を開ける!
Filmarks
恐竜と至近距離で触れ合うことができる高級リゾート「ジュラシック・ワールド」で起きた悲劇を描いた第4作目から3年後の世界を描く今作。
恐竜保護を目的とした団体を立ち上げて恐竜の命を救う活動をしていたクレアは、恐竜が取り残されたイスラ・ヌブラル島で火山の大噴火が起こることを知り、オーウェンを誘って今も島に残るブルーをはじめとした恐竜を助けるために島に乗り込みます。
恐竜救出活動のサポートを頼んだロックウッド財団に裏切られ、恐竜にも襲われ、火山も噴火し、いつものようにてんやわんやの展開に。
イスラ・ヌブラル島から脱出して、舞台はロックウッド邸へ。
恐竜を密売しようとしているロックウッド財団経営者のミルズに見つかり、地下牢に閉じ込められたオーウェンとクレアは、逃げ出した際にロックウッドの孫である少女メイジーと出会い、ブルーをはじめとした恐竜を助けるために奮闘します。
インドラプトルと呼ばれる新しい遺伝子組み換えの恐竜も登場し、豪邸内を逃げ惑う3人を執拗に追いかけて…
というあらすじです。
「ジュラシックワールド/炎の王国」がひどい理由
ここからは、酷評されている内容をピックアップしてまとめていきます。
予告映像で全部出し過ぎ!
まず最初は、予告映像について。
「サーファーが楽しむ波の間にモササウルスがいるシーンなんて、ほぼ結末でネタバレ」
「予告映像以上のものは本編になかった」
など、辛辣な声が挙がっています。
ジュラシックワールド/ドミニオンの公開は楽しみだが、やはり繁殖した恐竜と人間の支配権をかけた戦いになるのか。炎の王国では死にゆく恐竜の姿が辛かったが、あれは自然(火山)によるもので納得はできた。だが人間に殺されまくる恐竜は見たくない。最後は原作根幹にある生命賛美の結末を期待したい。 pic.twitter.com/WMSx38ld74
— ふたみん@いろいろアカウント (@kumirei_shion) July 26, 2020
確かに、主要なシーンはかなり出してますね!
「炎の王国」って前半だけであとは豪邸で鬼ごっこなんて、サブタイトル詐欺!
次は物語の舞台について。
冒頭こそ「ジュラシック・ワールド」のあったイスラ・ヌブラル島で、火山から恐竜を守ろうと奮闘しますけど、それも前半50分程度。
物語の大半はロックウッド邸で繰り広げられます。
ジュラシックワールド炎の王国
— 西中/Nishinaka (@nishinaka_0518) January 9, 2020
サブタイトルになってる炎の王国=火山島は序盤の序盤に脱出するので火山島でハラハラドキドキする冒険が始まるかと思ってたら全然違ってスケール感小さくて寂しい気持ちになった。 pic.twitter.com/6Umkydox5e
恐竜の力に人間は到底敵わないという絶望感を、雄大な自然と圧倒的なスケールで描いてきたこれまでの「ジュラシックシリーズ」。
「大自然や恐竜という絶対的な存在が主役の環境で、人間たちはどう生き抜いていくか」という世界観を支持しているファンの方には、狭苦しい檻に入れられた多数の恐竜や、屋敷の地下室や廊下でちまちまと逃げ惑う主人公達を観て「こんなのジュラシックシリーズじゃない」と否定している声が多いです。
逆に、前半の島での恐竜救出のくだりは、評価が高く満足している方が多いですね。
「ブラキオサウルスのシルエットでエンディングを迎えていたらもっと感動できた」という感想には心から賛同!
#映画で印象に残っている死
— 🇯🇵Nigelファン🇬🇧 (@MarvenNigel) May 29, 2019
『ジュラシック・ワールド 炎の王国』のブラキオサウルス pic.twitter.com/snTVO3Mtnt
本作の原題『Fallen Kingdom』は、直訳すれば『陥落した(崩壊した)王国』という意味になります。
「王国」は、恐竜たちがいるイスラ・ヌブラル島だろうと直感的に分かりますが、もう1つ「これまでの世界・価値観・生態系」を揶揄しているのではないかという指摘もあります。
生物学的には、Kingdomという単語には、生物分類における上位階級の一つ「界」の意味もあり、「Fallen Kingdomとは、すなわち現生の生態系そのものの陥落も暗喩している」というのだ。
シネマカフェ
そう指摘するのはみんな大好き「恐竜くん」!
【SAI-AM】<9時台後半>恐竜くん(@perfect_stan)が登場! #起きたら802
— FM802 (@FM802_PR) July 23, 2022
詳しくは⇒https://t.co/MrerExuXar#fm802 pic.twitter.com/tO8z4lVVd0
16歳で単身カナダに留学し、恐竜の研究が盛んなアルバータ大学で古生物学を中心に広くサイエンスを学んだ恐竜くん。
恐竜好きの我が息子(4歳)も恐竜くんを崇拝しております。
その辺りも踏まえると「炎の王国」という邦題が安直で誤解を招くものだったということですね。
こういう邦題でやらかしちゃうパターン、多いですよね…。
数々の騙されを経験して、最近筆者は原題も確認するクセがつきました。
オマージュか知らんけどワンパターンなストーリー展開
過去作のオマージュシーンが多数出てくることはまだ許容できるけど、それでも毎回お約束のように、
- 恐竜と追いかけっこ→主人公達だけ強運で助かる
- 恐竜をナメ腐るっている悪役人間が登場して主人公たちを裏切る
- 悪役人間に追い詰められる→間一髪で恐竜に助けられる
- 新種恐竜と追いかけっこ→間一髪で恐竜に助けられる
- 悪い人間が恐竜を悪用しようとする→最後に容赦なく恐竜に食べられる
という「絶体絶命→助かる(助けられる)→主人公たち不死身」を繰り返すだけになっているのは、「ただの過去作の焼き直しで観ていてしんどい」「この作品自体が過去作のクローン」という声多数。
個人的には、水戸黄門の印籠みたいな感じで「ジュラシックシリーズの様式美」くらいに思っていたので何とも思わなかったですけど、確かにもう少し工夫があればもっと新鮮な広がりはありそうですね。
恐竜への愛やリスペクト、「命」に対しての一貫した姿勢がなくブレブレ
人間が勝手に蘇らせて島に残してきた恐竜たちや、ヴェロキラプトルのブルーは「救う対象」なのに、遺伝子操作で誕生した新種の「インドラプトル」には、主人公たちを執拗に追い詰めさせて「悪役」として描いています。
今回の新種恐竜「インドラプトル」は、片目開けて寝たふりしながら人間を騙し討ちにした挙句に獲物を段階的にいたぶったり、主人公達(特に少女)を執拗に追い、窓の鍵も器用に開けるなど、無駄に知能が高いその行動は、第1作目に出てきた「ヴェロキラプトル」の習性をなぞっているものと思われます。
ゴジラ情報があれこれ飛び交う中、『ジュラシック・ワールド/炎の王国』を見た。インドラプトルはもはや恐竜↑ではなくマンダやキングギドラのような怪獣の仲間である。そう思えば、冒頭やあれやこれやを繋げると、なんだ『メカゴジラの逆襲』じゃないか! クレアおばさんはさらにむちむちに pic.twitter.com/GNuib8MQau
— 馬場卓也@ラブ&作家 (@takuyaz) July 19, 2018
ラプトルの習性を表現しているのは分かるけど(演出の仕方もあると思いますが)、その執拗さが恐竜を通り越して不気味すぎる。
これまでのジュラシックシリーズに出てくる恐竜は、人間の力で蘇らせたものではあっても、自然の一部として、行動原則は「動物としての範疇」を超えませんでした。
(前作の新種恐竜インドミナスも、組み込まれた他動物の習性をなぞった野性的な行動が主だったので、まだ納得できてマシだった)
恐竜への愛やリスペクト、一貫した姿勢が感じられないし「この内容をなら恐竜じゃなくてゾンビでもエイリアンでも良かったんじゃ?」と疑問の声が多く挙がっています。
極めつきは「少女メイジーもクローンだった」という設定。
「命を弄んでいるようで不快」と思われても仕方ないですね。
B級ホラーパニックムービーに成り下がっている
前章とも共通するところですが、舞台の大半を薄暗い洋館の豪邸にして「恐竜映画の圧倒的なスケール感」を放棄してしまった今作は、ただのB級ホラーパニックムービーに成り下がっているという感想多数。
少女メイジーの金切り声の絶叫も併せて、B級感満載なのは筆者も納得。
登場人物全員に共感できない
- 【オーウェン】恐竜の恐ろしさを嫌というほど知っているのに、ブルーを助けるという理由だけで島に戻るか?
- 【クレア】前作で恐竜を金儲けの商品としか見ていなかった、そしてあれだけ恐竜の圧倒的な強さと恐ろしさを目の当りにしたのにも関わらず、今度は恐竜保護に全振りしている偽善者的な変わり身が理解できない。
多くの犠牲者を出した元パークの管理責任者として罪の意識もなく、またパークに戻って恐竜を助けようとする神経が恐ろしい。 - 【メイジー】あれだけ賢く屋敷中を立ち回って逃げ切ったのに、最後は自室のベットに戻るって何?
- 【歯の収集癖のある傭兵】歯を抜いてコレクション集めるだけのために、インドラプトルの檻に入るって正気なの?
オーウェンの島入りには、クレアを守るためという理由もあったんだと思うのでまだアリかなと思いますが、クレアの後先考えない感情的で短絡的な行動は、確かに共感はできないですね。
ワールドシリーズのクレアも炎の王国辺りで許された感じを出してるが許しちゃあかんでしょ
— ラブレス (@cl3zt) June 12, 2022
ウー博士並にタチが悪い pic.twitter.com/GQwLzJYxcZ
実際、島に入って溶岩が迫る中、バリオニクスに襲われたクレアは、バリオニクスを建物に閉じ込めて溶岩で焼き殺しています。
自分の命が一番大事なのは大前提で分かるのですが、恐竜に対してどういうスタンスで向き合っているのか、ちょっと理解に苦しむところはあります。
メイジーは100歩譲って、安心できるベットの中に本能的に入ってしまった子供の習性ということにできるかもしれませんが、歯の為に檻に入った傭兵は論外ですね。
アマプラで『ジュラシック・ワールド/炎の王国』観たけどほんとひどいなこれw ガバガバ脚本が自分のフィクションラインを軽々越えてくるのと、何より後半で敵役になる恐竜に魅力がないのが残念すぎる pic.twitter.com/xWCCZjHlNF
— フランソア (@francois_pso2) May 8, 2019
ラストに恐竜を人間界に放った選択
何といっても、鑑賞した方のほとんどがモヤっている結末。
毒ガスが恐竜たちに迫る中、「恐竜の命」と「人類の命」を天秤にかけて、悩んだ挙句「人類の命」を取ったクレア。(おいおい、悩むところじゃないだろ!と思いましたが)
人間界が救われたかと思いきや、少女メイジーが扉を開けて恐竜を解放。
その理由が「クローンだって生きてる」
「マジか…」と、さすがに声が出ました。
さっきまでそのクローン仲間であるインドラプトルに追いかけられて逃げ回ってたやないかっ!
自分以外の人間が襲われて死ぬのはいいのか!?論理が破綻しとるぞ!
と、多くの人が思ったようですね。
「このためだけに少女をクローン設定にしたのか」「子供がやったことだからしょうがないよね」的に観客を納得させようとしている制作陣の魂胆がイヤとの声も。
そしてマルコム博士の
「人間は恐竜と共存していかなければならない。真のジュラシック・ワールドにようこそ」
との皮肉った発言。
なるほど、 “ジュラシックワールド”ってそういうことか。と理解はしたけど納得はできない感じ。
続編ありきの結末だからしょうがないと諦めるしかないと、皆さん落胆されていました。
ジュラシック・ワールド/炎の王国鑑賞!今までのジュラシックシリーズの中でも1番人間のエゴや醜悪な面が強調されてたように思う…禁断の果実に手を触れてしまった人類にとってあの結末はまさに決まりきっていた未来だったのかもと腑に落ちるラストだった
— FUMI ▲ (@coldqueen16) August 13, 2018
続編が楽しみ#映画好きと繋がりたい pic.twitter.com/tVQL6uaKYf
そんなレビューの中に「恐竜の檻を開けずに外に続く扉だけ解放すれば、換気もできて恐竜も人類も救えたんじゃね?」という意見が。天才現る!確かにそうだ!クレアやり直せ!
「ジュラシックワールド/炎の王国」がひどい!ファンも酷評のネタバレ感想まとめ あとがき
続編は往々にして、第一作目を越えられないと言われていますが、「ジュラシックシリーズ」も例外ではないようで。
もっと恐竜への敬意と愛、命の尊厳を守って欲しかったですね。
- 制作費をふんだんに注ぎ込んで最新技術を駆使した映像で恐竜を疑似体感する
- 恐竜を悪用しようとした人間が恐竜に容赦なく喰われる様子でスカっとする
- お約束の「絶体絶命ピンチ→助かる」の繰り返しを楽しむ
ということを目的に、見る分には良さそうですね。
最新作「ジュラシックワールド/新たなる支配者」も、既に公開されている海外の反応は賛否両論で、酷評も目立ちます。
「ジュラシックワールド/炎の王国」のエンディングの方向性を観ると、酷評があることも納得できます。
公開されたら、まずは自分の目で確かめてきたいと思います!
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