藤井風さんが「The sun and the moon」を書き下ろし、音楽担当した「東京2020オリンピック SIDE:A」を見て来ました。
このオリンピックには個人的にいろんな思いもあったので、実際見に行くかどうかすごく迷ったんですが、迷って気にし続けるくらいなら行こうと思い切って。
同じように迷っている方の判断材料になればいいなと思い、ネタバレとか関係なく、どんな感じで藤井風さんの音楽が流れていたかとか、感想とか、超個人的に思ったことを書いていきます!
暗闇ノールックでメモを取ってみたけど、壊滅的な字の汚さ&文字同士重なってて自分でも読み返せず。(なぜあんなにも同じ場所に書いてしまうのだろうか…)
記憶違い等もあると思うので、あくまで参考までに。
※見に行くまで内容を知りたくない方は、この記事はスルーしてください!
藤井風の歌やピアノが流れる部分
藤井風さんの歌やピアノが流れる場面を、簡単ですが書いていきます!藤井風の出番は思ったより少なかった。
全然音楽に詳しくない人間ですが、ピアノの音色はどれも「ああ、何となく風くんっぽいな」と感じられる旋律でした。
オープニング「君が代」
雪が降りしきる中に咲く桜が映し出される中、藤井風さんのハミングが始まり「君が代」を歌い始める。まさか君が代!?と驚き。
呟くように静かに、何かを思い出すような、少し悲しさを感じるような、息多めで情緒たっぷり。最小限のピアノの音色を付け足すような感じで歌いあげる。
声の絶妙な揺れや、かすれが、すぐそこで歌っているかのような感覚を呼ぶ。
もしかしたら、LASAデモのInstagramストーリーにあげていてくれた「君が代 お試し」は、この映画のための音源だったのかもとふと想像する。
君が代の歌詞にインスパイアされた「やば。」も、このオファーきっかけで誕生したのかも。
確認してみたらInstagramリールには2021年7月の録音と出てたので、あり得るなと1人で納得してしまった。
スケボーのシーン
スケボーの選手達が滑っている姿が映し出されている時のピアノの劇伴。
転んだ選手にみんなが駆け寄って抱きつき、励ましながら称えるシーンに感動を添えていた。
サーフィンのシーン
何十年もかかってやっとオリンピック競技になったというサーフィン。
海で波に乗る選手の映像に藤井風さんのピアノ。
2人の選手が同じように海の中で佇んでいるのだけど、片方が勝ったと思われる人、片方が負けたと思われる人で、その対比に藤井風さんのピアノが寄り添っているような感じ。
海中から水面を見上げた映像と、「海は無」というような字幕に乗るピアノの旋律は、神秘的な美しさをより引き立たせていた。
エンディングテーマ「The sun and the moon」
この映画のために書き下ろしたメインテーマ曲。
目の前にいる人に優しく伝えるような歌い方で、途中で子供達のコーラスが入ったり、とても平和感がある。
パンフレットに歌詞が書いてあったようですが、買えなかったのでうろ覚えだけど、
「私たちはすべてを手にしている」「手放すこと、与えること」「勝ち負けじゃない」「コントロールが必要」「私たちはもがいている」「心を光や愛で満たす」というような、いつも一貫して藤井風さんが発信している精神性、そして「まつり」と共通したメッセージ。
時系列的には、今までの思想に光と影のようなオリンピック要素を落とし込んで「The sun and the moon」に、さらに藤井風の真髄を突き詰めて「まつり」に行き着いた感じかと。
間奏は「まつり」のイントロをもっと厚くドラマティックにしたような、あの長い指の大きい手が繊細に自由に動き回っているのが想像できる美しい旋律。
高音まで行き着いて2つの鍵盤を交互に連打して叩き、鍵盤の上を木の葉がひらひらと舞うように下りてくるような感じで弾き、重厚感ある低音を響かせた後に、The sun and the moon~♪と歌い始めるところは、思わず声が出た。
全然伝わらないと思うけど、とても良かった。
根底にはしっかりと一貫性のある精神を置きながらも、こちらの予想外の音楽的手法や歌詞で驚かせてくる類の「藤井風らしさ」は控えめという感じで、映画に寄り添うシンプルで骨太な美しさがあった。
光と影、壮大で平和感はあるけど儚さというか暗さというか、愁いを帯びた湿度も感じた。
エンドロールに和訳歌詞が出るのだけど、音楽に集中しながら歌詞も見て、たまにクレジットも見て、と非常に忙しかったので、家でじっくりとイヤフォンで聴きたい。
「東京2020オリンピックSIDE:A」映画の感想
映画の構成やテーマ、印象に残った点
ナレーションなしの選手インタビューのみで構成され、アスリートであり母でもある3人の女性や、祖国から逃れて活躍する難民の選手、黒人問題と闘う女性アスリート、バスケットボールやソフトボール、柔道の日本代表などが映し出される。
「アスリートは、選手である前に1人の人間」「人生の勝利を自分でどう定めるか」が、この映画のテーマなのかなと思う。
女性である河瀬監督ならではの「女性アスリートの活躍」に重点を置いた内容で、出産後、コロナ禍でのオリンピック開催に向けて、母であることを優先して選手を引退した日本人選手と、組織にかけあって夫と子供帯同の許可を取り、来日してオリンピックに出場しながら母乳育児を両立させていたカナダ代表選手との対比が、個人的に印象に残った。
棄権した女性選手が「無理だと思ったら辞めてもいい。それも強さだから」と幼い自分の子供に呼びかけるシーンと併せて、これからの時代の多様性や「自分の人生の選択」を象徴しているなと感じた。
そして、自分と同郷で同じ学校にも通っていた上野由岐子選手の姿に、改めてかっこいいなと心揺さぶられた。
▼この映画の音を担当したという方のツイート
1964の記録映画には私がかつて所属していた会社の大先輩達が文字通り総出で作り上げたという歴史があります。本当に縁というのには不思議なものを感じます。
— Fujiba【藤林繁】 (@fujiba87) June 2, 2022
このプロジェクトでは私が体験した中では、一つの映画作品という意味では、一番多勢のサウンドエンジニアが関わった作品です。
とのこと。
国家プロジェクトということで、多くの人達が制作に関わっていたようですね。
個人的なマイナス点
それぞれの選手に背景があり、ドラマがあるということは伝わり、選手の想いや置かれている状況、その後の選択にはとても考えさせられるものがあった。
ただ「素材を切って並べただけ」みたいな印象も感じてしまって、オリンピックにもスポーツ全般にも詳しくなく、フィギュアスケート以外興味もあまり持っていない者としては、ちょっと引き込まれなかった。散文詩みたいな。
スポーツ好きな人には楽しめたのだろうか。もしかしたら、スポーツ好きな人の方が、ガッカリしているかもしれない。
選手の心情に深く切り込んだ内容だとは思うけど、その選手たちのドラマを集めて映画として伝えたい主題は何なのか、もっと際立たせた方が見ている人に対しては親切だったかもなと。
今回の記録映画のゴールがどこなのか分からないけど、ドキュメンタリー以上のものが出てくると思っていたのでちょっと肩透かし。ふわっとしている?という印象。
記録映画自体がそういうものなのかもしれないし、河瀬監督のいつもの手法なのかもしれないし、自分の理解力不足や感受性の問題なのかもしれないけど。
そういう意味では、最後に流れる「The sun and the moon」が上手く受け皿になっていたとも言える。
この映画のテーマ曲が藤井風でなくてはいけなかったかというと、そこも必然性は感じられなかったけど、あの曲だったから形になった部分はあるなと。
映画館だからといって音が良かったかというと、個人的にはそうでもなく。
競技シーンも少なかったし、そもそもエンジニアが大勢関わって作り上げるほどのリアルさや臨場感が必要だったのかな、とも思う。
私が行った劇場や座った席の問題かもしれないけど、多勢のエンジニアが関わったという醍醐味が実感できなかったのは残念。
本編終了後に予告も流れた「SIDE:B」の方が、映画としての面白さはありそう。萬斎さんもチラッと映ったので、降板のいきさつとかも出るのかな。
藤井風が音楽担当した「東京2020オリンピックSIDE:A」を見た個人的感想 まとめ
目標や自分の守るもののために日々決断をし続け、全力で努力を重ねているアスリートが素晴らしいのは大前提で、映画としての面白さは、5/10点くらい。
映画館で藤井風さんの「君が代」と「The sun and the moon」を1回聴くために2000円弱払うのが惜しくなければ、是非劇場で。
「君が代」はまあよし、「The sun and the moon」のサントラ発売や配信などの音源化を待ってもいいやという方は、ステイで。
個人的には、藤井風さんファンの友達がいたとしても「映画館行った方がいいよ」とは勧めないかな。
1つだけ確かなことは「The sun and the moon」はイヤフォンでじっくりと歌詞を見ながら聴きたい曲だということです!
ちなみに初日の朝イチの回に行ったら、自分を含めてお客さんは4人。うち1人おばさんが途中で帰ったので全体で3人というガラガラ状態。
この仕事を受けた藤井風さんの未来が明るいことを、心の底から祈りたい心境でした。
超個人的な感想なので「ああ、この人はこう思ったのね」程度に受け止めていただけると助かります!
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